このブランドのHMIがすごい TOP3 2021年版【前編】
HMIの重要度が高まり、特に若いユーザーでは自動車の購買時に重要な検討要素になりました。ユーザーに求められる自動車HMIのレベルは日々高まり、ブランド間での開発競争も激しくなっています。
2021年現在、HMIでアドバンテージを持っているブランドがあります。今回のランキングでは注目すべき3つのブランドをHMI視点で選びました。現状量産車で実現しているHMIの先進性、洗練度、今後のトレンドへの影響力等を総合して順位をつけました。もちろん現状でトップを走るメーカーが全ての答えを持っているわけではなく今後の他メーカーの追い上げもありますが、優れたHMIの開発は短期間で出来ません。必要な専門家をリクルートして組織を作り、トレンドの流れを先取りして開発をするビジョンが必要です。
果たしてHMIの世界で先頭集団を走る彼らは「誰で」「どのような」HMIのビジョンを持っているのでしょうか。
1位 メルセデス
注目ポイント
1.幅広い製品ラインナップで実現した業界をリードする先進的なHMI
2.音声や視線等の直感的な入力方法の実現
3.新型S-Classで実現した新世代HMIのスタンダード
4.常に最先端のHMIを市場投入し続ける開発スピードの速さ
注目車種
新型S-Class (2021〜)
HMIの重要性に早い段階から気がつき、他社に先駆けて大きな投資をしてきたメーカーです。エントリークラスのA-Classから最上級セダンのS-Classまで基本的に同じHMIを搭載しています。既存の自動車メーカーとして正攻法な進化の代表としてメルセデスを1位としました。2018年に登場した4代目A-Classでは当時の上位モデルよりも進んだHMIを搭載して市場を驚かせました。彼らのポリシーとして最新のモデルに最も新しいHMIをクラスレスに搭載するという姿勢が見て取れます。
2021年に登場した新型S-Classは現在考えうる全ての先進技術を盛り込んだHMIを搭載した注目のモデルです。物理的なボタンを極力減らした一方で、視線入力や音声入力などの直感的な操作が可能になり、より人に寄り添ったHMIに進化しました。メルセデスのHMI開発は他社の2世代ほど先をいくほど進化のスピードが早く、しばらくは最も先進的なブランドであると考え1位としました。
PERCHの視点 プリセット化への進化を目指す?
HMIの多機能化で常に存在するのが操作の煩雑化です。できることが増えてもユーザーが使いこなせないことでは製品の価値を感じることはできません。そこでユーザーに合わせた設定やおすすめの機能のプリセット化が進むのではないかと予測します。メルセデスは全車共通のHMIを採用しているため、新型車両が常に最新のHMIを搭載する製品戦略をとっています。PERCHは2015年から車両調査を行なっていますが、メルセデス の進化は他社に比べてかなり早く差が大きくなっているのが特徴です。年々機能が増え続けており、MBUXになった際には特に画面数が増えました。
それに合わせてカテゴリ構造が複雑になり、画面や機能を変更するのに何度もクリックしないといけない状態になっています。また操作方法も共通化していないため目的の画面を表示するのが難しくなっています。時々これまで知らなかった画面が発見されることもあるほどです。
今後は自動運転とネットワークアプリの発達に伴い機能増加は加速します。そのためユーザーのニーズに合わせて複数の機能を一括で変更するプリセット化が優れた解決方法の1つと考えられます。メルセデスはMBUXからユーザーエクスペリエンスに合わせて選択できるプリセットを用意し始めましたが、デザイン品質/画面構成/使い勝手などから、プリセット表示機能を重要視していることが伺えます。
記事のボリュームが多くなってしまったため、2位と3位に関しては次週のメルマガでお伝えいたします。
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