カラーマネジメント用語解説

【カラーマネジメント】

全ての入出力機器での色再現を統一するシステム【業務全体を管理する統合型システム】です。全ての機器をプロファイル等の基準に合うように個別に管理し、各機器間を統一するワークフローを作り、総合的に管理を行うことで実現します。また、一部の機器やソフトウェアの設定を行っただけでは機能せず、かえって問題を引き起こす要因となるため注意が必要です。

導入を成功させるためには、制作に携わるスタッフ全員(制作者だけでなく管理者や営業担当者も含む)にシステム運用に関する知識が必要とされます。

図1 入力デバイス→データ編集→出力デバイスが異なる発色特性を持っている


【カラーワークフロー】

制作業務の流れに合わせて各工程でデータが制作されます。そのデータが適切な色になるようにカラー情報を変換したり、表示方法を変更したり、工程間でやり取りするルールを定めたものをカラーワークフローと呼びます。

図2 アパレル業界の業務に沿ったカラーフロー

 
 

【カラープロファイル】

カラーマネジメントシステムの構築・運用では色基準が必要となり、現在のシステムで利用されているのが、【ICCプロファイル】です。

業界標準となる「基準プロファル」と、機材を測定して作られる「デバイスプロファイル」があります。カラーワークフローを策定する際時には基準プロファイルが利用されます。

プロファイルに含まれる3つの要素
1.ガンマ特性
2.白色点(色温度)
3.RGB各色の三刺激値(色の値を記録した数値)

図3 カラープロファイルの中身 AdobeRGB1998

 

【ガンマ】

入力データに対して異なる出力にして濃度を調整を行う、プロファイルごとに異なる値です。もともとはブラウン管を正しく表示するために作られたものです。

sRGB, AdobeRGB1998(最もよく利用されているプロファイル)では2.2を採用しています。

映画の基準DCIは2.6、テレビの基準Rec.709は2.4となっています。

ほとんどの入力機器では2.2を採用しています。

図4 ガンマがかかっていない状態1.0と、ガンマ2.2の入力と出力の違い

 

【キャリブレーション】

入出力機器は、製品1台ごとに発色特性が異なっています。

入力機器のカメラも、出力機器のモニターも個体ごとに色が異なっています。あるモニターでは R が弱く、別のモニターでは G が強いといった個体差があります。さらに色のずれ方は一定ではなく、ハイライト/中間/シャドウ、でRGBが波打っていたり、輝度がばらばらだったり、といった不規則な状態になっています。

そしてこの特性は使用時間が経つごとに変化し、このことを【経年劣化】と呼びます。

このような乱れを修正し、出力特性をフラットにするのが、【キャリブレーション】という行為です。一般的には、【測色機】と呼ばれる発色特性を測定する機器を用い、その測定データを元に ICCプロファイルを作成する【プロファイル作成ソフト】が必要になります。

図5 劣化したモニターの表示特性を正しい状態に戻す

 

【測色器】

色を図るための機器。用途によって計測手法が異なる複数の機器があります。

物体(製品表面、印刷物など)を測り数値化することで目視に頼らない正確な色データ作成がかのになります。

モニターのキャリブレーションでは経年劣化の度合いを測定するために使用される。測色器を内蔵し自動でキャリブレーションを行えるモニターもあります。

図6 i1Basic Pro 3 測色器メーカー x-rite社製品の1つ
https://www.xrite.com/ja-jp/categories/calibration-profiling/i1-solutions

 

【カラーキャリブレーション モニター】

カラーマネジメントに対応したモニター。キャリブレーション機能が内蔵されており常に正しい表示自体を高い精度で保つことが出来ます。

通常のモニターでは正しい色を表示したり、基準プロファイルを再現することが出来ないため、カラーマネジメントを行うことができません。

図7 EIZO ColorEdge CG279X  測定器を内蔵し自動キャリブレーション機能を備えたカラーマネジメント対応モニター

【色評価用光源】

屋内で使用する光源の多くは太陽光とは異なり均一な波長でないため、色を正しく観測することが出来ません。

太陽光に近い波長を表すRa値が100に近いものを色評価用光源と呼びます。

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