Project No.5　Personal Custom HMI
ユーザー特性ごとに最適化したHMI研究

 

 

プロジェクト概要

異なる世代のドライバーに合わせてメーターを変化させるHMIのコンセプトデザインです。家族で１台の車をシェアする場合、運転の習熟度や必要な情報はドライバーそれぞれで違います。表面的な意匠だけではなく、表示する情報の種類や量も世代によって変化させることでより安全で楽しく使えるデザインになると考えました。メーターがスクリーンなることで自由にコンテンツを変更できる事を最大限に活用したコンセプトの提案です。

 

制作の狙い

現在市場に存在する自動車のメーターは、視認性等の使いやすさを考慮したメーターが搭載されていますが、1つのメーターで全ての世代や好みを満足させることは困難です。運転中に確認したい情報の種類や量がドライバーによってカスタマイズされることでユーザーの車への信頼と愛着は高まります。また、認知力の低下、運転技術の違い、先進技術の理解度の違いに合わせた表示を行うことでより安全に運転できます。

 

制作プロセス

Case1
自分で育てる 一緒に喜ぶHMI

強い愛情が生まれる

メーターの中に【運転スキルの向上で育つキャラクター】が住んでいます。自分の行動が車に影響を与えることで車との一体感が生まれ、キャラクターへの愛着を通じて、車への愛着が深まります。

 
 

他業種とのコラボでライフスタイル全体を提案

自分が購入した服のQRコードを読み込ませることでメーターの中のキャラクターにお揃いの衣装をプレゼントし、愛着をより深めることができます。自動車が生活の中で他業種と連携することでユーザーのライフスタイル全体をデザインすることができます。

 

デザイン概要

ユーザーが自分の部屋にいるようにリラックスできる雰囲気をデザインに込めました。

  

進化するキャラクターのデザイン

ドライバーと一緒に過ごすことで進化するキャラクターは、ユーザーが感情移入しやすいような余白のあるシンプルなデザインを心がけ、進化した時の変化もわかりやすくしました。着せ替え機能で様々な衣装を合わせやすいようにモノトーンをベースとしたカラーとしました。

  

優しさを感じるデザイン

メーターはユーザーが自分の部屋で落ち着けるようなナチュラルな素材感を感じられるデザインにしました。
1.常にキャラクターが一緒に運転してくれる安心感
2. 有機的なカーブを組みわせ優しさを演出
3.機械っぽくならないすっきりしたフォント

  

リラックスしたライフスタイルを表現したカラー

若い女性層に好まれるイメージを調査し、その中から自然でシンプルなライフスタイルを好む人たちが好む雰囲気のカラーを検討しました。リラックスした空間を演出するために明るい木目を使用し、それに合わせた明るいナチュラルなブラウンとグリーンを合わせました。

 

必要な情報に絞り込んで、使いやすさとデザイン性を両立

必要最低限の情報量で不慣れなドライバーも混乱させません。
1. コンパクトに表示されるミュージックコントローラー
2.スマホに慣れ親しんだドライバーに親近感の湧くアイコン表示
3. キャラクターがアドバイスしてくれるので情報を好意的に素直に受け取れる

 

Case2
人と繋がるHMI

人との距離を縮めるコミュニケーションの方法

友人や他人と心地よく繋がることができるコミュニケーションツールの機能をメーターに持たせました。話したい人との関係に合わせて、音声や文字などコミュニケーションの方法を柔軟に変化させます。ネットワークを使ったコミュニケーションの活性化でユーザーのライフスタイルを楽しく手助けします。

 

デザイン概要

アクティブで先進的な雰囲気で、高性能なデバイスらしさを演出します。

 

大画面に現れるインパクト

ドライブ中に友人からの通話が入ると大画面のリアルタイム動画でコミュニケーションが始まります。運転のための機能と両立しつつも、友人の表情が大きく見えるレイアウトにしたことで気持ちがよりつながりやすくなりました。

 

大胆な画面の切り替わり

画面が大きく切り替わることで情報の優先度に応じて表示される位置やタイミングをデザインしました。運転中にそれぞれの瞬間で必要とされる情報は変化しますが、ドライバーに過不足ない情報が提供されます。

 

統一された世界観

全体で統一された世界観を演出するために、ラインの太さや透明度等のディティールに統一感を持たせました。画面の中の要素が大胆に変化してもディティールに統一感があるので世界観が崩れません。

 

視線を誘導する見やすいアニメーション

アニメーションを効果的に使うことで画面内の多くの情報の中から自然に視線を誘導しています。ウィンドウの変化やアイコンの動きや点滅などを使って、見るべき箇所を目立たせました。

 

アクティブで先進性を感じさせるカラー

現代的で先進的な雰囲気を狙ってブラックをベースとしています。アクセントに使った彩度の高いイエローはペルソナの好むアクティブな印象を醸し出し、テクノロジーを予感させます。

音声入力・音声読み上げ

運転操作を妨げずより多くの情報の入力と出力をする方法として音声でのコントロールを活用しました。運転しながら使う頻度が高い機能には音声読み上げと音声入力で操作をすることにより運転に集中しながらより多くの情報を処理できるようになりました。

 

若いユーザーにあった文字・アイコンサイズの検討

スマートフォンやタブレットの操作に慣れている世代がユーザーのため、画面の多くの情報を理解し、複数のタスクを同時並行で行うことが普通になっています。アイコンを効果的に活用してボリュームのある情報を限られたスペースで効率よくアクセスできる構造としました。

 

従来とは異なる大胆な情報表示の変移

運転中に追加で表示される沢山の情報を重要度で見せ方を変えてドライバーが運転中でもうまく捌くことができる構造としましたが、運転に必要な情報は常に表示さていることで運転に集中できる構造としました。

 

Case3
人を思いやるHMI

運転の不安を解消

健康状態を客観的に把握することで危険を未然に防ぐHMIです。
事前調査で【現状の車が提案する「休憩しませんか？」】の案内をユーザーはお節介だと感じていました。心理研究から「説得」に関して調査を行い、唐突なアドバイスではなく事前に状況を把握することでアドバイスを好意的に受け入れやすいことを応用しました。そのためユーザーに取ってもらいたい行動（休憩）の前にドライバーの状態（集中力の低下）を明確に提示することでユーザーは気持ちよく行動に移すことができるようになりました。

 

ユーザーに合わせた気遣い

ドライバーの運転中の健康状態のモニタリングと将来の予測を行うことで車が自分を気遣ってくれていると感じます。ユーザーの行動や傾向を学習しそれに基づいた情報を表示することで車に対して信頼や愛着が生まれます。

 

他のサービスとの連携のチャンス

カフェなどユーザーの行動履歴に基づいたおすすめのサービスを車のHMIを通してユーザーに提案することができます。業界を超えてビジネスの可能性が拡大し、ユーザーもシームレスなサービス体験を受けることができます。

デザイン概要

ユーザーに信頼感や所有欲を感じさせるための高級感を表現するために高級腕時計のディティールや素材感を参考にしました。

 

高級感を表現する為のカラー＆マテリアル表現

高級感の表現のために高級腕時計や高級オーディオのディティールを参考にしました。切削加工とポリッシュ加工した金属を組み合わせ立体感を演出しています。背景には革シボを使い、実在感のあるマテリアル表現で威厳と存在を感じられるHMIを目指しました。

 

ユーザーの身体能力を考慮したフォントサイズの検討

視力が低下したユーザーでも問題なく文字情報を判別できるようにフォントサイズを検討しました。フォントはすっきりして視認性と可読性が高いものを選びました。

 

落ち着きと高級感を感じさせるカラー

高級感、重厚感、落ち着きを感じさせるようなダークブラウンを大きな面積に使いました。金属的な表現のパーツにはカッパーの色味を使い、温かみや優しさを感じさせるカラーとしました。

 

ユーザーの身体能力に合わせた画面構成

年齢と共に衰える認知力・視力・理解力に合わせた画面構成で無理なく使えるHMIを目指しました。ユーザーの特性に合わせて画面のレイアウトの変化を少なくすることで目で追いやすくなり、見せたい情報を広い画面を使用してポップアップさせることでグラフとの関係性を持たせるアニメーションとしました。

 

ユーザーを不快にさせない日本語セリフの検討

HMIにアシスタントというキャラクター設定を行い、その設定に適した言葉遣いをコピーライターが作成しました。コピーライティングは最適な日本語を検討する作業で専門家が行い、HMIで使用する言葉の最適化を行います。

 

ユーザーが納得しやすい見せ方

文字情報でユーザーに選択肢を提示するシーンでは「はい/いいえ」で答えられるような明快にユーザーを誘導する方法を選択しました。
安全のためにドライバーに行動を促す場合は未来予測を行ったり明確に比較した結果を視覚的に見せることでドライバーに納得してもらって気持ちよく行動してもらえるようにしましました。